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副院長 浜野弘規の論文

副院長 浜野弘規の論文

第3回 エムドゲインの歯周組織における生物学的背景
 歯周疾患に罹患し、ポケット内に露出したセメント質をどのように処置すれば理想的な治癒ーセメント質の完全な再生ーが得られるかは、歯周治療の最も重要なひとつであるが、未だ容易ではない。 1996年にスエーデンで製品化されたエムドゲイン(エナメル基質由来物質:EMD)は、幼若なブタの歯胚から抽出・精製された蛋白材料であり、主に含まれる蛋白はエナメル基質蛋白質(以下EMP)である。 この蛋白はその名の通り、歯牙発生時のエナメル質の形成に重要であるほか、長年の研究でセメント質の形成過程にも関与されているとされていることから、現在は歯周治療において歯周組織、特に無細胞性セメント質を積極的に再生させる新しい材料として注目を浴び、臨床でも活用されはじめている。 しかしながら未だにこの材料が歯周組織を誘導する可能性があるかについては論議が多い。 この点に関して、自分の所属している「歯周病研究会」にてエムドゲインを特集した1997年9月号のJ.Clin.Perio1)-5)を抄読およびエムドゲインの主成分をなすEMPについての文献検索、その私見をまとめてみた。


1)エムドゲイン誕生の背景

 エムドゲイン応用の臨床的位置付けや、胎生期におけるセメント質発生理論は、昨年からの歯科雑誌6)-15)で最も注目された内容であるので、詳細は他の成書を参考にしていただきたい(概略は図1、2)。 いうまでもなく歯周組織再生成功の鍵は、歯根膜細胞を誘導すること以前の感染源の除去が最も肝要であるが、原因の除去のみでは組織の再生は得られない。 感染を取り除いた後、高い硬組織形成能を保有する歯根膜細胞を誘導することにより、歯槽骨・セメント質の再生が導かれる。 そこで原因除去による歯周疾患抑制の治療から、再生療法が(GTRやBMP応用)など始まった。 しかし、GTRは真の歯周再生というより、歯周組織の修復機転との場をつくり出してと考えほうがよい。 真の再生をのぞむためには、一度失われた歯周組織環境に歯牙発生時と同様の環境をつくり出しす考えがエムドゲインの意義である。 歯根膜細胞を導く因子としては、間葉由来の骨誘導蛋白(BMP)が有名であるが、このエムドゲインの理論背景である「発生期におけるエナメル(上皮)基質蛋白(EMP)によるセメント質形成を促す間葉細胞の誘導」は新たな発想なのであろうか?このような誕生の背景には、以前より発生学で提唱されている「上皮ー間葉の相互誘導」を実証できつつある発生工学の進歩と、その技術に支えられる「再生医学による臓器の機能再生」の発展が基盤と思われる。 再生医学とは、「人体の内在性に存在する幹細胞を活性化させて人体の再生力を賦活させ、病気の治療を図る」ものと定義づけられる16)。 この発展には、クローン動物や最近明らかになった幹細胞の存在17)などに代表される様々な組織の発生過程が分子生物学的に解明されはじめ、個々の細胞がどのように分化し、その集合体である臓器を形成していくかが、詳細に明らかにされつつあることに起因している。 これらの技術が人工材料と組みあわせて開発が進んでおり、特に肝臓や皮膚などの組織などでは激しい開発競争が繰り広げられてきている。 この再生医学の歯科への応用の一例が、エムドゲインであると思われる。 以前より発生期の胎児では、組織の形成・分化には、上皮と間葉組織間に機能的な相互誘導が存在することが分かっていた(図3)。 例えば胎児乳腺上皮に胎児唾液腺間質を混合すると、乳腺組織が形成されず唾液腺組織ができることなどである18)-20)。 すなわち、組織形成では上皮は間葉の刺激なしでは形成ができず、間葉も上皮の命令(誘導)で初めて組織という一つの器官に形成されるのである。最近になって、この誘導分子が具体的に(BMP、HGF、ある種のサイトカインなど)明らかになってきており、これらは胎生期の組織形成のみならず、成長期の組織の創傷治癒や腫瘍の進展・浸潤にも関与していることも解明されてきた21)22)。
歯という組織の形成も、エナメルという上皮組織、象牙質・セメント質・歯髄という間葉組織すべて単独で発生する事はなく、エナメル(エナメル上皮)と象牙質・セメント質(歯小嚢由来間葉)の相互関係で形成されるのである。 セメント質における上皮ー間葉の存在は、1976年に歯牙発生学の権威であるSlavkinの提唱から始まり23)、1980年にOwenらが電子顕微鏡的にセメント質形成期におけるヘルトウィッヒ上皮に分泌機能の存在を示唆24)、1982年に今回、エムドゲインの開発に関わったHammarstrom らの実験もこの考えを支持した25)。 Hammarstromは今からすでに15年前にこの上皮蛋白を研究していたことが今回の開発に結びついたものと考えられる。 分子生物学的手法の整い始めた1988年にSlavkinらが無細胞性セメント質とエナメル蛋白との関わりを生化学的にみいだし26)27)28)、Hammarstmom らが発生期の歯根表面上にアメロジェニンの存在を示した1)。 これらの発生学的な知見と再生工学の技術の進歩、さらに再生医学という新たな考えの歴史が、エムドゲイン誕生の背景にあると思われる。


2)エムドゲインの評価

 では、このようにして発生の原理で開発されたエムドゲインとはどのようなものであろうか?エムドゲインはスエーデンのビオラ社が開発した製品で、主剤がエナメル基質由来か分離精製した物質であるEMD、EMDの溶解および塗布した局所へEMDを停滞させる目的のためのプロピレングルコールアルギネート溶液の2剤より成っている。 主剤のEMDは、幼若ブタの歯胚から抽出・精製した蛋白であるが、ブタの歯胚を選んだ理由は、ブタの安全性(ブタによる病原性ウイルスやプリオン病の報告はない)、蛋白成分のヒトとの類似性、さらにブタの歯根面の接する歯根膜には非常に多くのマラッセの上皮遺残が考えられる(図4)。 このエナメル上皮由来の組織がアメロジェニン(図5)をはじめとするエナメル上皮蛋白を含むこと、またエナメル上皮が多く存在することから培養細胞も確立され29)、in vitroにて歯周組織に適した知見が得られていている30)ことからも、sourceをこの動物に求めたものと思われる。 この精製された蛋白に対する臨床応用および実験結果が1997年9月号のJ.Clin.Perioで、全て一冊特集されている。 組織レベルの実験(サルを用いた実験、また矯正学的理由から抜歯予定のヒト下顎前歯からの組織標本ともコントロールまたはベースラインにて比べ、無細胞性セメント質と歯槽骨の著明な再生が認められた)では良好な成績であるが、このような組織内(In vivo)での実験ではEMDそのものが積極的にセメントの増生を促しているかの判別が難しいため、培養細胞(in vitro)の実験評価がエムドゲインが直接セメントを誘導しているかの参考になる。 in vitroの実験を行った Gestreliusらは(図6)、EMDには濃度依存的に歯根膜細胞の増殖がみられるが、上皮細胞には増殖効果をもたらさないこと、石灰化結節能などを確認した(いずれもコントロールに比して)3)。 これらの実験からエムドゲインに対する歯根膜細胞の特異的な反応性があることが伺われる。 特に石灰化結節能の見られることは、この蛋白の細胞に対する特異的な硬組織形成能を保有していることを意味し、骨・セメント質へ分化する歯根膜細胞の特徴を引き出すには有利なものと思われる。 しかしながら、この硬組織はセメント質であるとは述べておらず、セメント質形成の特異的な蛋白という確証は今後の検索に期待したい。
 このようにエムドゲインによるセメント質再生の可能性ができつつあるが、まだエムドゲインの製品化の日が浅いため、Hammarstromの施設以外での発表はまだ少なく31)-34)、論文での評価は未だ整っていないようである。 その中で、Scleaanらは16人の被験者同一口腔内におけるエムドゲインとGTRによる再生療法8カ月例を臨床的に比較検討した結果、統計学的な有意差は見られなかったと報告している(図7)が、著者も述べているように症例の日数が短いため、 これだけでは評価しにくい。
わが国でも今年の日本歯周病学会でも6件ほどの症例ならびに実験応用の演題がみられたほか、他の学会においても移植に応用した発表されだしたことから、今後の誌上における正しい評価が待たれる。


3)エムドゲインへの新たな疑問

1)  EMPはセメント質再生必須の条件か?
 胎生期においてはEMPはセメント質形成のイニシエーターとして必須のようであるが、成長期におけるセメント質形成の現場でもEMPは必須な蛋白なのであろうか(図8)?セメント質形成には、歯根膜中の未分化間葉細胞が必須なことは周知であるが、セメント質の再生(結合組織性付着のみられる歯周治療部位や移植歯牙、歯牙移動時における牽引側の歯根面)や増生(加齢や根尖病巣時の根尖部のセメント質増生、歯内療法時の生理学的根尖孔封鎖)さらには増殖性病変(セメント質腫などの腫瘍性セメント質病変など)におけるEMP関与の報告は現在までのところ少ない35)。 しかしアメロジェニンなどエナメル蛋白の遺伝子配列が明らかな36)現在、今後免疫組織化学などによる詳細な検討が行われ、評価がなされると思われる。
 では、今までの再生の現場(エムドゲインが登場する以前、図9)にて、EMPの産生場所はいったいあるのであろうか?従来より、歯根膜組織の恒常性を調節する細胞としてエナメル上皮由来のマラッセの上皮遺残が指摘されてきた37)-39)(図10)。 井上らの報告でもマラッセ上皮と歯根膜の相互関係が指摘されること40)-42)からエムドゲインの登場は、今後の臨床における歯根膜細胞の誘導とともに新たにマラッセの上皮遺残をどう保護し、いかに生体内でEMPを産生させるかを再認識させ、新たな議論を生むものと思われる。

2)EMPは、象牙質上においてセメント質を誘導するのであるのか?
 セメント質発生ではへルトウィッヒ上皮の分泌物が象牙質上に沈着して初めて始まる。 また、従来より結合組織性付着には健康な象牙質表面に存在する糖蛋白(W型コラーゲンなど)が必要とされることからも、セメント質の再生における象牙質の重要性は大きい。 堀田らの実験では、有髄歯群の方が無髄歯群よりセメント質の形成量が多く、これらは根管充填剤が象牙細管を通じて骨芽細胞やセメント質に影響し、セメント質の再生量が少なくなったと報告している。
43)。 昨年にアメロジェニンとある種の糖蛋白結合44)が明らかになったことからも、改めて象牙質の存在意義とEMPの相互関係の検索が期待される。

3)エムドゲインを象牙質に塗布しても、歯根膜中の未分化間葉細胞は胎生期のような歯小嚢様細胞の能力をもっているのか?
 感染を除去し、歯根膜細胞が病巣部位で増殖するという条件があればセメント質は再生することは知られている。 しかし、フラップ手術などの歯周外科処置では欠損部位に歯根膜細胞を誘導することが難しいため、GTRやエムドゲインなどの再生療法が注目を浴びているのである。 再生には必要な細胞(幹細胞)が必要な場所に存在することが十分条件なのである。 しかし、エムドゲインは発生の原理から考えるとあくまでこの再生に必要な幹細胞ー歯小嚢由来の未分化間葉細胞ーを誘導するための材料であり、幹細胞そのものを移植しているわけではない。 また胎生期由来のEMPを増殖局所に供給しても成熟期の細胞が反応するのか、若年期の歯周組織に比べ加齢した歯周組織には歯小嚢由来の細胞がどれくらい(歯根膜細胞の量)存在し、どれだけ活性化できるか(歯根膜細胞の質)は不明である。 1976年にMelcherらが歯根膜細胞は未分化間葉細胞としての多潜能性を保有していると提唱45)、その後硬組織形成能を有している証明が多くなされている46)-50)が、加齢現象における歯根膜細胞の活性化能の詳細の検討は少ない51)52)。 最近小守らによって明らかになったCbfa1/Pebp2aA遺伝子は骨芽細胞の分化過程に必須な転写因子 である53)ことから、歯小嚢由来の細胞より発生し象牙質という硬組織に分化する歯髄細胞におけるCbfa1/Pebp2aA遺伝子に注目し検索したところ、若年者の歯髄にCbfa1/Pebp2aA遺伝子の発現が強く見られた一方、高齢者の歯髄にはその発現が低かったことから加齢変化における未分化間葉細胞の活性化能低下が示唆された54)(図11)。 今後は歯髄と発生源の同じ由来の歯根膜細胞における加齢変化を現在検討中である。

4)エムドゲインに免疫原性は本当にないのか?
 ビオラ社の実験にてエムドゲインの安全性(毒性、抗原性、プリオンや他の病原性ウイルスの存在、温度変化などによる安定性)が確認され、現在までその副作用の報告はされていない。
しかし、ブタ歯胚抽出精製された異種蛋白をヒトの免疫担当細胞が「異物」として認識されることは考えられ、エムドゲインの抗原性や感染源になる可能性は依然として残っている55)(図12)。
SRPやTBIで感染が改善されても、ポケット内の菌が100%なくなることはない。 そのようなポケットでエムドゲイン自体が菌に感染しないだろうか?また抗生物質で細菌が駆逐されない歯周病巣に、エムドゲインがセメント質を形成できるのだろうか?EMDは培養細胞では石灰化、増殖能が示されたものの、それはあくまで感染のない培養液中の出来事である。 さらにエムドゲイン応用部位にはブラシングができないにも拘らず意外とプラークがつきにくいことや、創傷治癒が早いなど今までにない指摘もされている。 昨年、Petinaki らは、エムドゲインはヒト末梢リンパ球、特に活性化CD4Tリンパ球への免疫応答性は低いことを示した56)が、エムドゲインの免疫原性への臨床レベルでの検討も必要と思われる。 また臨床においては、エムドゲインの再生能力を過剰に評価せず、エムドゲインがセメント質誘導能力を引き出せるような最大の環境をつくるための努力(歯周病の原因である感染巣の除去ー初期治療の再確認)が最も重要である。

5)EMP、特にアメロジェニンはセメント質を誘導する新たな誘導物質として評価を得るであろうか?
 Slavkinのセメント質発生における上皮ー間葉の誘導関係の提唱以来、具体的な誘導物質としてアメロジェニン分子がその第1候補として脚光を浴びているが、それはアメロジェニンがセメント質発生期に多く歯根面に存在していることを形態的に証明した方法によるもの1)27)28))で(図13)、機能的にアメロジェニンが直接セメント質誘導に関与する報告はまだみられない。 現在の発生の分野では歯冠の形成においては上皮ー間葉の誘導が次々と分かってきていること57)58)59)から、近い将来特に歯根発生期における詳細な分子生物学的な研究にて、その全容が明らかになる近い日が思われる。


おわりに

 以上の事からも現在は、エムドゲインおよびセメント質再生時のEMPの関与は不明な部分が多い。 しかしながらこの原理の概念と問題点を熟知しながらも、臨床の新たな手段としての可能性を確かめる試みもなされ、実際に今までとは異なった歯周組織の再生もみられている(図14)。 今後は、臨床・基礎現場における相互の詳細な検討(Evidence-based Approach)を行う事によって、この材料の歯周治療における再生療法としての有力な方法としての応用が期待される。
 今回の執筆に多大なる御助言、御提言を戴いた横須賀市・五十嵐歯科医院・五十嵐俊男先生、川崎市・作間歯科医院・作間敏伸先生・杉山太郎先生、横浜市・丸森歯科医院・丸森英史先生、東京都・二階堂歯科医院・二階堂雅彦先生に感謝いたします。 尚、毎月第三土曜夕方に「歯周病研究会」を東京・水道 橋で行っています。 興味のある方は二階堂雅彦先生まで連絡(03-3611-0670)下さい。


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付図説明


図1 胎生期における歯の発生および歯根形成の模式図

図2 セメント質発生時におけるエナメル蛋白の発現  (歯根:エムドゲインのパンフレット:その模式図)

図3 上皮ー間葉相互関係の模式図

図4 ブタ歯根に多数存在するマラッセの上皮遺残

図5 エナメル上皮とエナメル蛋白

図6 エムドゲインのin vitroの結果  (EMDの歯根膜細胞に対する各種影響:文献3)の図を引用)

図7 Split mouth study におけるエムドゲインとGTR応用8カ月例の比較検討(文献31の図を引用、一部改変、PI : Plaque Index, GI : Gingival index, BOP : bleedong on probing, PD : probing depth (mm), GR : gingival recession(mm), CAL : clinical attchment (mm)

図8 セメント質再生の臨床例
女性、初診時 歳、非喫煙者(左初診、右15年後)初期治療(ブラッシング・SRP)にて経過観察。
歯根が初診時より太くなっていることに注目。
X線的にセメント質再生の可能性が示唆される。
(横浜市臨床座談会の症例から・丸森英史先生のご好意による)

図9 セメント質の増生
エムドゲインを外的に塗布しない部位にEMPの発現はあるのであろうか?(bの図は文献50の図を引用、一部改変)

図10 マラッセの上皮遺残の生理的・病理的意義の模式図

図11 骨芽細胞分化のマスター遺伝子、cbfa-1/Pebp2aAの模式図
a)胎生期18.5日のcbfa-1/Pebp2aAノックアウトマウスの骨格標本
正常(上)では全身の骨格が石灰化しているのに対し(赤色)、ノックアウトマウス(下)では軟骨による骨格形成は起こるが石灰化はほとんど起きていない(文献54の図を引用、一部改変)
b)ヒト歯髄細胞のcbfa-1/Pebp2aA遺伝子の検討(RT-PCR法):若年者(1‐3)には発現が見られたものの、高齢者(4‐6)には明らかな発現は認められない

図12 免疫応答の成立
マクロファージ(APC)が自己、非自己を認識、病原体を貪食・分解し、処理抗原をクラスII(MHC)上に提示する。
CD4T細胞はT細胞レセプター(TCR)を介してクラスII-抗原(Ag)複合体を認識し、これに結合する。
CD4T細胞となり、各種サイトカイン(IL-2, IL-4, IFN-gなど) を分泌する。
サイトカインによって活性化されたB細胞は体液性免疫を、CD8T細胞は細胞性免疫を司る。

図13 歯牙の形成と誘導分子
 a)歯冠形成期における上皮ー間葉間の相互誘導(文献58を引用改変)
 b)アメロジェニン抗体を用いた免疫組織化学染色
(上:発育期のラット、発生期のヒト、文献1)より引用、一部改変)

図14 エムドゲイン応用の臨床例
 29歳 男性 非喫煙者 1の広い2壁性欠損(左:術前ポケット7mm、右15ヶ月後ポケット4mm:作間歯科医院・杉山太郎先生の御好意による)
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