チョコレートは認知機能を向上させる?!

      2025/03/21

院長の病理学の先輩でもあり、歯科心身学における第一人者の安彦先生が当院に書き下ろしてくれた、お口と心の悩みの解説の特集です。

1か月前のバレンタインデーの話です。日本では、バレンタインデーといえば女性が男性にチョコレートを贈るのが定番ですが、ご存じのように、これは日本独自の文化です。1958年、東京・新宿の伊勢丹デパートでメリーチョコレートが「バレンタインセール」を開催したのが、日本でのバレンタインデーの最初のプロモーションとされています。一方、欧米では、男性が女性に花を贈るのが一般的です。私が30年以上前にカナダに住んでいた頃にも、この習慣は定着していました。日本では女性が男性にチョコレートを贈ると話したところ、「日本はそんなにハッピーな国なの!?」と驚かれたことを覚えています。

さて、チョコレートの起源は約3,000年前、現在のメキシコ周辺に遡るとされています。その後、マヤ文明やアステカ文明ではカカオが「神聖な食べ物」とされ、儀式や交易に用いられていました。当初は唐辛子やスパイスを混ぜた苦い飲み物でしたが、現在のような固形のチョコレートが登場したのは19世紀になってからです。

近年、カカオに含まれる抗酸化作用のあるポリフェノールが健康に良いとされ、その影響か、カカオの含有量を高めた苦味の強いチョコレートも販売されるようになりました。また、チョコレートには砂糖が含まれており、摂取すると脳内のエンドルフィン分泌が促され、幸福感をもたらします。このため、リラックス効果やストレス軽減を目的にGABAを配合したチョコレートも販売されています。GABAは脳に作用し、間接的にリラックス効果やストレス軽減をもたらしますが、その作用機序はアルコールや抗不安薬と類似しています。さらに、最近ではチョコレートが脳の認知機能を改善する可能性も示唆されています。今回は、ダークチョコレートが認知機能を向上させるかを調査した研究を紹介します[1]

ダークチョコレートの認知機能向上効果については、研究結果が一貫していません。これは、ダークチョコレートが認知機能以外にも何らかの影響を与えている可能性があるためです。本研究では、その要因の一つとして「疲労」に着目し、ダークチョコレートが疲労に与える影響と、それが認知機能にどう関与するのかを4週間にわたって検討しました。対象者は、インターネット広告を通じて募集された4065歳の健康な日本人中年成人104名(男女各52名)。糖尿病、神経疾患、精神疾患、または中枢神経系に影響を与える病歴のある人は除外されました。実験群(n=56)にはカカオ分72%のダークチョコレート(カカオポリフェノール635mg)を15個、28日間摂取してもらい、対照群(n=48)には日常生活を変えず、チョコレートを摂取しないよう指示しました。開始時と4週間後にMRI検査および疲労・認知機能の評価を実施しました。その結果、ダークチョコレート摂取群では、精神的・身体的疲労が有意に低下しました。認知機能の測定では、注意力、認知の柔軟性、実行機能を評価するStroop testの成績が有意に向上し、記憶機能の評価に用いられる記憶パフォーマンス指標も改善傾向を示しました。脳構造の変化を調べたところ、灰白質の体積に直接的な増加は見られなかったものの、活力の向上を介して減少が抑制される傾向が認められました。以上のことから、中高年の日本人において、ダークチョコレートの摂取は疲労を軽減し、それを介して認知機能や灰白質の体積、生活の質に良い影響を与える可能性が示唆されました。今後、より長期間・大規模な研究が求められると考えられます。

中高年を対象とした研究で、疲労を軽減し認知機能を向上させる可能性があるのであれば、私も積極的に食べたほうがいいのでしょうね。ただ、チョコレートには砂糖が多く含まれている点が気になります。それから、「チョコレートをたくさん食べると鼻血が出る」とよく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょう?気になったのでChatGPTに聞いてみました。その結果、「チョコレートを大量に食べると鼻血が出る」という話は迷信に近いものの、いくつかの要因で鼻血が出やすくなる可能性はあるとのことです。その要因として、チョコレートに含まれるカフェインやテオブロミンには血管を拡張する作用があり、血流が増えることで鼻の毛細血管が破れやすくなる可能性があるそうです。また、大量に摂取すると代謝が活発になり、体温が上昇し、それに伴い血管が膨張して鼻血が出やすくなる可能性も指摘されています。とはいえ、あくまで「可能性がゼロではない」という程度の話であり、実際にはほぼ迷信と考えてよさそうです。

  1. Nemoto K, Kokubun K, Ogata Y, Koike Y, Arai T, Yamakawa Y. Dark Chocolate Intake May Reduce Fatigue and Mediate Cognitive Function and Gray Matter Volume in Healthy Middle-Aged Adults. Behav Neurol. 2022 Dec 13;2022:6021811.



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