コーヒーは朝がいい?!
院長の病理学の先輩でもあり、歯科心身学における第一人者の安彦先生が当院に書き下ろしてくれた、お口と心の悩みの解説の特集です。

今朝は千歳空港におり、これから東京に向かいます。大学の仕事などがあり、東京に1週間滞在する予定です。国内で1週間も滞在するとなると、荷物は海外旅行並みに多くなってしまいます。さらに、今回は雪のない東京でジョギングをしようとジョギング用の道具も持ってきたため、余計に荷物が増えてしまいました。
実は、月曜日から金曜日までは大学の仕事ですが、2日早めに東京入りをして、今日は「ビール検定1級合格者の新年会」に参加します。このビール検定1級の合格は非常に難しく、これまでのべ4万人以上が受験している中で、1級合格者は約120名程度にとどまっています。2級合格者(今年の合格率は約40%)のみが1級の受験資格を得ることができ、1級の合格率は例年3〜5%程度ですが、最近は受験者が減少しているため、今年の合格率は10%を超えました。ただし、何度も挑戦して合格した人もいるため、今年新たに1級に合格した人は全国でわずか5名程度とのことです。私も合格までに6年かかりました。1級に合格しても、ビール仲間の間で少し自慢できる程度ですが、私の場合、ビール審査員としての活動に非常に役立っています。この合格者が集まる新年会が毎年開かれており、今年もそれに参加するため、東京に2日早入りしました。今日は、ビール愛好家たちと、ビール談義を楽しみながら存分にビールを味わう予定です。
今朝は、自宅を出る前にコーヒーを1杯飲み、バスの中で缶コーヒーを1杯、千歳空港でさらに1杯飲みました。ただ、少し飲みすぎかなと思い、4杯目は控えることにしました。ここでふと、コーヒーががん予防に効果があるという話を思い出し、国立がん研究センターのホームページを確認してみました。そこには、肝臓がんに関する効果として、多目的コホート研究において、コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人の肝臓がん発生率が約半分に減少し、1日の摂取量が増えるほど発生率が低下することが示されているとありました。また、大腸がんに関しては、日本の8つの大規模コホート研究を統合した解析で、女性が1日に3杯以上のコーヒーを飲むと結腸がんのリスクが約20%低下することが報告されていました。さらに、最近では飲食の時間によって健康への影響が異なることが明らかとなり、「時間栄養学」という分野も注目されています。コーヒーについても、摂取する時間帯による健康効果の違いが報告されており、関連論文を1つ紹介します[1]。
本研究調査は、1999年から2018年までの国民健康栄養調査で食事に関する完全な情報を得た40,725人の成人と、7日間の食事記録に関する完全なデータを得た女性と男性のライフスタイル検証研究で得た1,463人の成人を対象として行われました。コーヒーを飲むタイミングと健康とのパターンを統計的に調査しました。この観察研究では、国民健康栄養調査でコーヒーを飲むタイミングの 2 つの異なるパターン [朝型 (参加者の 36%) と終日型 (参加者の 14%)] が特定されました。平均9.8 年の追跡期間中に、全死亡者数が 4,295 件、心血管疾患による死亡 1,268 件、および癌による死亡 934 件が確認されました。カフェイン入りおよびカフェイン抜きのコーヒーの摂取量、睡眠時間、その他の交絡因子(個人差など、本研究の誤差を引き起こす因子)を調整した後データを解析した。結果は、コーヒーを飲むことによって、全死因死亡率は0.84倍、および心血管疾患での死亡率は0.69倍のリスクといずれも有意に低下したことが明らかとなりました。飲む時間帯による調査では、コーヒーを飲まない人と比べて、コーヒ摂取1日1杯以下を朝に飲む(朝型群)での死亡率は0.85倍、朝以外に飲む(終日群)では0.85倍、1日1杯〜2杯の朝型群では0.84倍、終日群では0.93倍、1日2〜3杯での死亡率は朝型群で0.71倍、終日群では0.99倍、1日3杯以上では朝型群で0.79倍、終日群では0.85倍となっていた。以上のように全体的にみて、終日型パターンよりも朝型パターンの方が、コーヒーを飲まない人と比較して、死亡率が低下していた。以上のことから、朝にコーヒーを飲むことは、一日の後半にコーヒーを飲むことよりも死亡リスクの低下とより強く関連している可能性が示唆されました。
数値を詳しく見てみると、終日型のパターンでは、1日2杯程度までは死亡率の低下がほとんど見られませんが、1日3杯以上になると、朝型と同程度の死亡率低下が確認されます。また、国立がんセンターの調査によれば、肝臓がんの発生率は1日のコーヒー摂取量が増えるほど低下し、大腸がんについても、女性が1日に3杯以上コーヒーを飲むと結腸がんのリスクが低下することが報告されています。これらの研究から、1日3杯以上のコーヒーを飲むことは、健康に良い影響を与える可能性が高いと言えそうです。
さらに、コーヒーには満腹感を得られる作用もあるとされています。私自身、朝はしっかり食べますが、昼食はとらず、夕食の1日2食という生活を続けています。それにもかかわらず、日中お腹が空いて仕方がないということはありません。これには、おそらく日中にたくさんコーヒーを飲んでいることが関係しているのかもしれません。
*この記事は2024年に書かれた記事です。
1. Wang X, Ma H, Sun Q, Li J, Heianza Y, Van Dam RM, Hu FB, Rimm E, Manson JE, Qi L. Coffee drinking timing and mortality in US adults. Eur Heart J. 2025 Jan 8:ehae871. doi: 10.1093/eurheartj/ehae871. Epub ahead of print.
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